新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類になって半年が過ぎ、
コロナ禍は徐々に収束へ向かいつつあります。
と同時に、以前は「GoToトラベル」、昨年は「全国旅行支援(いまなら。キャンペーン)」といった
行政による旅行支援策は、一部の県を除いて終了しました。
2つのキャンペーンで共に約1兆円規模の予算が使われたようですが、終了した今、
果たして宿泊業界や消費者にとって良い施策だったのでしょうか。
小さなゲストハウスオーナーの立場で考えてみました。
良い影響について
やはりなんと言っても、コロナ禍でなんとなく外出を控えるという閉塞感があったところに、
支援というお得感、限定感をアピールし、外出しよう・旅行に行こうというムードを作ってくれたことに尽きるのではないでしょうか。
同調圧力の強い日本社会では、誰かが強力に背中を押してくれないとみんなで前に進むことができません。
その点でこの旅行支援が、強力な後押しになったものだと考えております。
また経済対策としても一定の効果はあったのではないでしょうか。
大半が貯蓄に回った1人10万円の定額給付策に比べて、旅行代金の20-50%の支援によって、
その2-5倍の経済効果が得られるという意味で、効率の良い経済施策だったのだと思います。
悪い影響について
主に以下の2点が挙げられると思います。
・キャンペーンを機にホテル料金の高騰が始まったこと
特に2022年10月から全国で始まった「全国旅行支援」は、
旅行代金の20%+1人1泊あたり平日2000円、休日1000円のクーポンが支援されていました。
これにより「ホテル料金を20%上げてもクーポン分でお得を演出できる」と考えた大手チェーン系ホテルが、
軒並み20%程度の値上げをしておりました。
そして同時期に入国制限が撤廃されインバウンド需要が戻りホテルの稼働率が上がったため、
キャンペーンが終了しても値上げしたままの価格が維持されております。
昨今のホテル料金高騰のきっかけは、全国旅行支援にあったと考えております。
・消費者がキャンペーン価格に慣れてしまったこと
上記のような値上げをしていない宿(当館含む)についても、
GoToトラベルは宿泊料金が35%引、全国旅行支援は20%引(奈良県は50%引!)となり、
安い価格が当たり前のようになっておりました。
(全国旅行支援時、定価3000円→1500円+地域クーポン1000円、実質500円でした。)
キャンペーンが終了し定価に戻った際に、
宿側は「元に戻しただけ」ですが、消費者は「前と比べて高い」という感覚だったように思います。
これは後述するような悪影響をもたらすことになります。
当館の売上の推移と影響について
全国旅行支援中、月ごとの売上は前年と比べて確かに伸びました。(約20%程度)。
先述したように旅行に行っても良いというムードによるものと、
単価の安い宿でもお得に泊まれてラッキーだという面もあったように思います。
しかし実は、全国旅行支援が終了した2023年8月以降の方が、
月ごとの前年比の伸び率が高くなっており(約30%程増)、
特に8,9,11月は過去最高レベルの売上になっております。
理由を考えると、
昨今のホテル高騰により相対的に安い宿を探した結果、当館を見つけていただいたのではないでしょうか。
(近隣のホテルが倍以上の価格になっている点、ゲストハウス初体験という方が増えている点より)
「理由のない値上げはしない」という当館の方針(詳細はこちら)が、逆に今の時代に合っているのかもしれません。
このように売上面ではおかげさまで順調に推移しておりますが、気になる点もあります。
それは、旅行支援中に「お得を理由に来た方」は、支援終了後にほとんど来ていただけていないということ。
顧客満足度の向上とリピーターさんの獲得を目指して、
掃除や接客をコツコツ頑張ってきた身からすると、
お得感が最優先になってしまい、当方の誠意や努力に価値を見出せてもらえなかったのだと感じます。
この点は少し残念に感じました。
結論
・全国旅行支援中は消費者も宿泊業界も得したが、結果としてその後のホテル高騰を招いた
・お得だけで泊まったお客様はリピーターになっていただく可能性が低い
このように考えました。
よって、今後はこのようなお得感を演出するだけの施策ではなく、
・各地の知られざる魅力を磨き上げて国内外にアピールすること
・地域住民と観光客の上手な共存の仕方を模索すること
こうしたことに予算を使っていただきたいと感じました!
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