宿泊業に関わらず、サービス業全般では以前より、
「プロならお客様を選べない。どんなお客様でも手を抜かずにサービスをするべし。」
という考え方があります。
「お客様は神様です。」とも通じる概念であり、これが日本のおもてなしだとされてきました。
今回は開業して4年半が経ったゲストハウスオーナーとして、
「宿がお客様を選ぶことはできるのか。」について考えていきたいと思います。
まず旅館業法という観点から。
原則として、宿側はお客様の宿泊を拒否することはできません。
(2023年12月の旅館業法改正により、明らかな迷惑行為や度を超えた要求を繰り返す行為などについては、一部宿泊拒否ができるようになりました。拒否要件についてはこちらから、このことを書いた過去のブログはこちらをご参照ください。)
宿泊を希望する方でお部屋に空きがあれば(サービスの提供が可能な状態であれば)、
どんな方であっても受け入れる義務があり、お客様を選ぶという行為は法律違反となります。
したがって、一義的に「宿がお客様を選べるのか」と言われれば、選べないということになります。
ではもう少し広義で考えてみましょう。
宿がお客様を選ぶことはできませんが、お客様が宿を選ぶのは自由です。
仮にここで、自分の宿に来てほしい理想のお客様を「良いお客様」と定義するのならば、
「自分の」宿が「良い」お客様を選ぶことはできなくても、
「良い」お客様が「自分の」宿を選ぶのは自由だ、ということになります。
ということは、良いお客様にお越しいただきたいのであれば、
良いお客様に自分の宿を「選んでいただけるように」なれば良いのです。
それは間接的に宿がお客様を選んでいるのと同じことなのではないでしょうか。
私は、宿が「間接的に」お客様を選ぶということに賛成で、
逆に「プロならお客様を選べない」という考えは反対です。
宿泊業のプロだからこそ、次の①~④を考えて実行していくことが重要だと感じております。
①お客様に高く評価いただいている「宿の良い雰囲気(清潔さ・アットホームなど)」を守らなければいけない。
②「宿の良い雰囲気」を一緒に作ってくれる「良いお客様」に自分の宿を選んでいただきたい。
③そんな「良いお客様」に選んでいただくためにはどうすれば良いのかを考えて実行する。
④宿が「良いお客様」ばかりになると、間接的にお客様を選んでいることになる。
当館での顧客満足の向上、口コミの高評価、リピーターさん増加は、
「良いお客様」が自分の宿を選んでいただいているからだと感じます。
逆に「プロならお客様を選べない」としてその努力を怠ると、
「良いお客様」に選ばれづらくなるのだろうと思います。
もちろん来ていただいたお客様には、キチンとサービスを致します。
その上で、プロならお客様を選ぶことができるという概念が
もう少し広まっても良いのにな、と感じる今日のこの頃でした。
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