前回「いよいよ10/16(水)より、12-2月の予約受付を開始いたします!」にて、
ひとまず来年2月までの価格は据え置くということを書きました。
ホテル代をはじめあらゆる物の値段が上がっている中、
当館は価格についてどう考えているのか、という点について、
2回に分けて書いていきたいと思います。
当館の宿泊価格は、少なくとも直接予約(ホームページ・お電話・DMなど)からのご予約は
5年前から一切変えておりません。
(楽天トラベルやBooking.comなど予約サイト経由については、各種手数料分を価格に上乗せ致しました。その辺りの経緯はこちらをご覧ください。)
5年前の当時はコロナ前であり、特に京都・大阪などでゲストハウスの開業が相次ぎ、
時期によっては1泊1000円前後で泊まることができていた為、
当館の「1泊2500円(ドミトリー)」というのは、エリアでは最安値でしたが、
ゲストハウス業界全体から見ると適正価格だと思い、この値段設定にしました。
当時はアットホームさや快適さを評価いただくことがあっても、
「めちゃ安いです!」という評価はあまりなかったように思います。
コロナ禍の襲来で全ての宿の価格が暴落し、
その後のGoToトラベルキャンペーンや再度の緊急事態宣言で価格が乱高下した後、
コロナ禍の収束とインバウンドの復活(2022年10月の入国制限緩和)により、
価格が急上昇しました。
コロナ以前は土日祝・連休などの繁忙期のみ高価格でしたが、
今はインバウンド需要の高まりにより、平日でも値段が引き上げられるようになっております。
ホテル業界ではこれを「ダイナミックプライシング」と呼び、
日によって3倍以上の価格差をつけることが「ホテルビジネスの解」とされております。
でもこれって本当に良いのでしょうか。
今の世の中、様々なモノの値段が高騰しておりますが、
多くは仕入原価の上昇を価格に転嫁させたものになるかと思います。
それが理由での値上げは、個人的に全然ありだと思いますし、
我慢して身を削って破産するよりは、消費者に説明できる形で価格転嫁をすることは
問題のないことだと思います。
しかし宿泊業界で「ダイナミックプライシング」などという言葉の下で行われていることは、
ただのお金稼ぎ、そのものです。
「装置産業(用語はこちら)」と呼ばれる宿泊業界では、
一般的に仕入というものがほとんどありません。(一部シーツ代やアメニティ代ぐらいです。)
材料を仕入れて物・サービスを作って提供する、飲食店や工場などとはビジネスモデルが異なり、
大きな初期投資によってサービスの基となる建物・設備を作ってしまい、
数年~数十年かけて資金を回収していくというモデルになりますので、
昨今の物価高騰は基本的に影響はありません。(人件費は除く。)
「今は何でも高くなってるから宿泊代が上がっているのも仕方ないよね」というわけではないのです。
このまま宿泊代が高止まり、もしくは更に高騰していくようならば、
実質賃金が上がらない日本人にとって、旅行が贅沢品となり、気軽に行けなくなってしまいます。
観光庁調査「旅行・観光消費動向調査 2023年年間値(詳細はこちら)」によると、
日本人の国内旅行消費額(宿泊・日帰り)21.9兆円に対し、
訪日外国人旅行者消費額は5.3兆円となり、4倍もの差があります。
消費額全体の2割しかないインバウンド分がいくらこの先伸長したとしても、
8割を占める日本人の旅行需要が下がると、全体としてはマイナスになります。
ただでさえ「オンライン」「リモート」文化の浸透により
「わざわざ足を運んでみる意味」や「他人と関わる意味」が問われている中、
気軽に行ける価格でなくなってしまうと、本格的な日本人の旅行離れが進んでいくような気がしてなりません。
(既に今年から日本人の旅行離れが進んでいるように、肌感覚として感じます。)
目先の利益ばかりを追いかけているように見える観光業界は、
こうした課題に対してどう考えているのでしょうか。
長くなってきたので今回はここまで。
次回は業界の状況を受けて、当館としての考え方を書いていきたいと思います!
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