すごく久しぶりとなった本シリーズ。
今回は不動産売買の会社に勤務していた経験、更に本年からの法改正に伴い、
売買物件の仲介の際にしばしば見られる「当社限定物件」というのは存在しない!
ということについて、書いていきたいと思います。
売買物件選びの参考になれば幸いです。

当社限定と謳う行為は違法に
2024年の宅地建物取引業法・通達改正により、
不動産業者による「囲い込み」行為が、処分の対象となりました。(詳細はこちらより。)
これにより2025年以降、特定の不動産業者により売買物件の囲い込みができなくなりました。
では「囲い込み」とは何でしょうか。
物件を売りたいと思う売主は、販売を1社、または複数の不動産会社に依頼します。
複数の会社に依頼する場合は「一般媒介契約」を締結するのですが、
不動産会社としてはなるべく自社だけに預けてもらいたいと考えますので、
あの手この手で「専任媒介契約」という、自社のみで販売できる契約を結ぼうとします。
そして「専任媒介契約」を売主と締結した不動産会社は、
本来ならばすぐにでも買主を見つけるべく、次のような行動を取るはずです。
①自社HPへ掲載、チラシ広告を行う
②SUUMOなどのポータルサイトに掲載
③不動産業者だけが検索できるサイト「レインズ」へ登録し、他の業者から検索してもらえるようにする
しかし実際は、①以外の行動が遅くなる、もしくは実施されないことがあります。

「両手取引」という言葉をご存じでしょうか?
売主が売却を依頼した不動産会社と、買主が購入を依頼した会社が同じ取引のことであり、
1社が売主と買主、双方の代理となって契約を締結することになります。
(逆に「片手取引」は、売主が売却を依頼した会社と、買主が購入を依頼した会社が異なり、2つの不動産会社が契約に関わることを指します。)
そして両手取引の場合、売主との売却、買主との購入を行うことになるので、
売主と買主の両方から「仲介手数料」がもらえます。
宅建業法上で仲介手数料は、
上限が売買代金の「3%+6万円(売買代金が安い場合はこの限りではありません。)」と定められておりますので、
売買代金が3,000万円の場合、仲介手数料は「96万円+税」が上限となります。
それが両方から貰うと倍の「192万円+税」になるので、売上が大きく変わってきますよね。
なので不動産会社は、なるべく自社で顧客を見つけようとするために、
上記②③のような、わざわざ情報を公開して他社に教えるようなことをしようとせず、
物件を自社で「囲い込んで」、自社で買主を見つけるという慣習があったのです。
これが「囲い込み」と呼ばれる行為です。
そして囲い込みが禁止されるということは当然、
「当社限定」「当社のみの取り扱い」「当社オリジナル」といった文言は違法となります。

我々が取るべき行動とは
売りたい方も買いたい方も、1社だけに任せず
最低でも2社以上から話を聞いてみてください。
売却依頼は色々聞いた上で1社と「専任媒介契約」を結んで任せても良いかと思いますが、
特に購入の場合は、何社か回っていただければと思います。
その際に「当社限定」などと言う営業マンがいれば、
「違法なことをしてまで契約を取る人、もしくは会社」だと判断できます。
また「囲い込みって禁止なんですよね?」と質問してみて、
嫌な顔をする営業マンもまた、不誠実だと言えるでしょう。
特に不動産の営業マンは、知識のあるお客様を嫌う傾向にあると感じておりますので、
(法を武器にされると思い通りの営業活動ができなくなるため。)
「法律に詳しいんですよー」というアピールは、嘘をつかせないという点で有効だと思います!

何故今回こんな内容を書いたかというと、
たくさんのお客様がお越しになった8月、多くのお客様とお話しをする中で、
不動産売買をされた方のトラブルを聞く機会があり、
知識のない方が泣き寝入りをくらうという、悪しき風習がまだあるんだなと感じたからです。
(そういう不誠実さが嫌になり、脱サラしてゲストハウスを始めたという経緯もあります。)
ご宿泊される方で、不動産に関する悩みや相談がある方は、
答えられる範囲で何でもお聞きしますので、遠慮なくお声がけください!
公式Instagramもチェック!
https://www.instagram.com/guesthousehajimari/
★☆ コメント・お問い合わせはこちら ☆★
https://guesthouse-hajimari.jp/contact/index.html#contact_web