先日の高市総理「存立危機事態発言」以降、
中国側の反発は日に日に激しさを増すばかりです。
日本では主に観光事業者にマイナスの影響が出ている一方、
オーバーツーリズムの解消に繋がると、肯定的な意見も少なくありません。
経営に直接影響が出る方は、早期の事態解決を望む一方、
直接の影響がない方にとっては、むしろ混雑が減って歓迎しているように思います。
ところが歓迎している方は、
「中国人観光客が減った分、日本人が増えるはずだから影響はないのではないか」という意見があります。
宿の経営者として、この意見には一言言わせてください。
「今こそ空いてる観光地を旅しよう!」と意気込む日本人の方へ、
「土日や連休ではなく、平日に行ってあげてください!」
ビジネス需要がある都市部であれば、平日でも日本人の需要があります。
しかし観光地にある宿、特に旅館やシティホテルは、
日本人の需要がどうしても土日や長期休暇(ゴールデンウィークなど)に集中してしまいます。
多く見積もっても年間の3分の1程度しか日本人需要が多くないという状態、
残りの3分の2を埋めてくれるのが、曜日を問わないインバウンド需要なのです。
安倍政権でインバウンド拡大施策が始まり、今日まで順調に増え続けているのは、
宿泊事業者が「インバウンドが平日の稼働アップに繋がる」ことに気づいたからであり、
結果的にホテルやゲストハウス、民泊などの受け入れ態勢が整い、
インバウンドがどんどん拡大していったのだと思います。
そもそもどの宿も、土日や連休、繁忙期は元々満室だと思います。
中国人観光客が多少減っても、すぐに他で埋まるでしょう。
問題は平日です。
特に地方の観光地は、以前から平日の集客に苦労しており、
「平日はどこも休み」という状況も珍しくなかったと思いますが、
インバウンドのおかげで平日に稼げるようになったところも多いはず。
「宿を応援しよう」という気持ちを持っていただいたのであれば、
是非とも平日に行ってあげてください。
※当館は元々インバウンド比率が10%程度、中国人比率は2.3%であるため、影響は全くと言っていいほどございません。来たいと思うタイミングでお越しいただければ幸いです。
いやいや、そんなこと言われても、
平日は休みが取れない、というご意見があるかと思います。
私もサラリーマン時代、有休取得なんて夢のまた夢でした。
でも今になって思い返すと「何故勇気を出して有休を取らなかったのだろう」と思います。
有休は贅沢ではなく労働者として当然の権利であり、
それを取らせようとさせない職場環境というのは、異常な状態だったんだと思います。
以前当館に来られたフランス人旅行者に、
なぜ勤めているのに2ヶ月も日本旅行ができるのか、聞いたところ、
彼は笑ってこう答えました。
「僕らはバカンスで旅をするために仕事をしている。日本人は何のために仕事をするのか?」
私は答えに窮してしまいました。
仕事を生活の中心に考えてしまう日本人に対し、
彼らはあくまで自分の人生や趣味を一番に考えているんだと感じました。
さすがは人口6800万人に対し、年間1億人もの観光客を受け入れているフランス。
人口1億2600万人で、年間約4000万人弱の観光客で「オーバーツーリズム」と嘆く日本とは、
こういうところから異なるのだと、大変勉強になりました。
そしてもう一つ、お願いがあります。
街中や宿で中国人観光客を見かけても、敵対的にならずに優しく接してあげてください。
中国政府が渡航自粛を呼びかける理由として、
日本で中国人への犯罪が増えているという、事実と異なるデマを流していることは
報道で承知の通りだと思います。
しかしここで中国人への敵対的な目線が増えて犯罪が増えたりしたら、
それこそ中国政府の思うつぼです。
そもそも「中国=反日、台湾=親日」ということで、
台湾人観光客は歓迎する風潮にあるかと思われますが、
同じ民族でほぼ同じ言葉を使う両者を、見分けることなどできるのでしょうか。
中国人だと思って取ってしまった行動が、実は台湾人でしたとならないよう、
我々民間レベルでは、人と人との誠実なお付き合いをすることが大事です。
国家を動かすのも、最後は人なので。
この問題がどういう帰結になるのか、まだ誰もわかりません。
とにかく皆様には、観光地や宿を応援したいのなら平日に行きましょう。
そして中国人観光客を見ても、温かい目で見てあげてください。
よろしくお願いいたします。
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