8月初旬、
「京都離れの日本人、金閣寺・清水寺でも集客減少-奈良が人気集める」という記事が
アメリカの老舗金融ニュースBloomberg社からリリースされました。(記事はこちら)
内容としては以下の通りです。
・2025年のゴールデンウィーク、日本人観光客の人流を携帯電話の位置情報データを用いて分析。
・京都の有名寺院では2023年に比べて約20-40%の大幅減。定番スポットへ日本人が減少しているという結果に。
・主要な寺社や史跡の来訪者数の合計で見ると、京都と奈良では2023年は約30万人の差があったが、今年は奈良がわずかながら京都を上回った。
・奈良で特に伸びているのは、市内から離れた地域。市内は既に多くのインバウンドが来ているが、少し足を伸ばすとまだまだ知られていないところを楽しめる。
コロナ禍でよく用いられた「携帯電話の位置情報により人の流れの調査」であり、
訪日外国人観光客は日本の携帯を持っていないことから、信頼に足るデータだと思われますが、
その中で、ゴールデンウィーク期間中の話ながらも、
奈良が京都をわずかに上回っているという事実に、驚きを覚えました。

この要因は何なのでしょうか。
もちろん奈良、特に天河弁財天神社や橿原神宮など中南部の寺社仏閣、
皆様のご尽力の賜物だと誇らしい気持ちになる一方、
記事内のグラフを見てもわかる通り、奈良の増加以上に京都が減少しているという事実があります。
確かに近年、近畿地方の玄関口である京都駅はいつも大混雑、
市バスに乗るのもお寺を拝観するのも渋滞ばかり、という状況です。
15年前、私が京都の大学生だった頃とは、もう別の街になってしまっている印象があります。
京都に「風情」「侘び寂び」「静寂」「癒し」「伝統文化」を求めても、
高級ホテルや旅館に宿泊したり、高価なツアーに参加しない限り、
もう体験できなくなっているというのが現状ではないでしょうか。

京都から消えてしまった「風情」「侘び寂び」「静寂」「癒し」「伝統文化」は、
奈良にはまだ残っていると思っております。
もちろん近鉄奈良駅から東大寺・興福寺周辺は既に多くの観光客で埋め尽くされておりますが、
正倉院や東大寺二月堂、新薬師寺周辺はそこまで人が多くなく、
奈良らしい街並みや風景が残り、時間がゆっくりと流れているような感覚を味わうことができるかと思います。
そして当館のある橿原市から南部・東部は、
訪日外国人観光客どころか日本人にも知られていないような名所がたくさんあります。
実際、当館にお越しで奈良中南部を知らない方にオススメスポットを聞かれたら、
だいたいは「長谷寺」を紹介するのですが、ほぼ全ての方が
「静寂さ」「神聖さ」「自然」を感じ、とても良かったと言ってくださいます。

ただ、京都は相変わらず「ブランディング能力」に秀でております。
観光客の欲しいものに手が届くようなお土産屋さんが充実していたり、
「京〇〇」という名前が付くだけで、とたんに美味しそうに感じてしまう「魔力」は、
奈良にはほとんどありません。
(京抹茶と大和抹茶だと、京が付く方が美味しそうに感じますよね。。。)
そしてSNSで映えそうなグルメや観光地も、奈良はまだまだ少ないです。
でも奈良は、それでいいのかもしれないと思っております。
京都が失くした「風情」「侘び寂び」「静寂」「癒し」「伝統文化」は、
映えと相性がいいとは思いません。
むしろ奈良が1000年以上の歴史の中で培ってきた「風情」「侘び寂び」「静寂」「癒し」「伝統文化」は、
今作ろうと思って作れるものではなく、
そのままの状態を保ち続けることが大事なのかもしれません。

無理に着飾って背伸びをするのではなく、
先人たちが大切に残してくださったものを生かしながら、
ここにしかない魅力を無理のない形で皆様に伝えていく。
京都が自滅しかけている中、奈良に求められているものを理解することが、
我々観光業に従事する者に必要なことなのかもしれません。
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