ただいま絶賛特別公開中の「正蓮寺大日堂」。
地元や相当な奈良好きの方以外、ほぼ知られていないお寺なのですが、
実は本堂もご本尊も国の重要文化財であり、全国的にも貴重な涅槃図があり、
また境内には全国で唯一、蘇我入鹿を祭る「入鹿神社」があったりと、
なかなかに凄い場所なのです。
先日特別公開に行ってきまして、とても素晴らしく感動いたしましたので、
今回はその様子をご紹介したいと思います!
(※写真撮影全て可でしたので、当日撮影したものを使用しております。)
重要文化財・大日如来坐像と二天像



まずは重要文化財である「大日如来坐像」。
鎌倉時代前期に造られたとされ、半丈六(150cm)ながら優れた技術が用いられていることから、
京都の仏師によるものではないかと考えられているようです。
2021年から金箔などの補修を行い、本年無事にこちらへお戻りになったとのこと。
全てを包み込むようなふくよかさと、優しいお顔立ちが特徴的で、
間近で見ることができるというのも、感動したポイントでした。


ご本尊の両脇には、いずれも平安時代に造られた可能性が高い
四天王の内の2体「持国天像」と「多聞天像」が安置されております。
ご本尊よりも大きく約170cmありますが、これは恐らくどこかのお寺から
持ってこられたものではないかとされているよう。
どのような経緯で大日如来坐像と出会ったのか、そして残る2体はどこにいらっしゃるのか。
威風堂々とした姿にロマンを感じました。
猫入り涅槃図

そしてこちらの「猫入り涅槃図(ねはんず)」!
涅槃図とは、仏教の祖であるお釈迦様が亡くなる(入滅する)際の様子を描いたものです。
(真ん中の舞台で横たわっているのがお釈迦様になります。)
高さ3m以上の掛け軸という形になっており、
こちらは1746年に地元の方が寄進したものとされております。

涅槃図の左下、白地に青い模様がある動物が「猫」になります。
数ある涅槃図の中でも猫が書かれたものは全国で十数例しかなく、
奈良県ではこちらのみという、大変貴重なものとなっております。
ではなぜ、これだけたくさんの動物が書かれている中、
猫はほとんど書かれていないのでしょうか。


時は紀元前478年。
80歳だったお釈迦様は仏教を広めるべく、
老体に鞭を打ってインド中を説き歩いていたのですが、
ある日食中毒にかかり体調を壊してしまい、命の危機に瀕します。
そのことを聞いたお釈迦様の母、摩耶夫人は、息子の命を助けようと、
天界から不老長寿の薬を持って駆けつけ、赤い薬袋をお釈迦様に届くように投げたのですが、
残念ながら薬袋は沙羅双樹の木にひっかかってしまい、お釈迦様には届きませんでした。
(図右上、雲に乗っている女性が摩耶夫人。お釈迦様の左の緑の木にひっかかっている赤い袋が薬袋です。)
その後高いところに引っかかった薬袋を、ネズミが何とか取りに行こうとしたのですが、
猫に邪魔をされてしまい取れず、お釈迦様が亡くなってしまったと言われております。
つまり猫はお釈迦様の邪魔をした存在として、普通の涅槃図には描かれることがないそうです。
ではなぜこの涅槃図には猫が描かれているのか。
それは単純に、この絵の制作を依頼した方が「猫好き」だったからだそうです。
他の動物に比べて遠慮がちに書かれているのは、そのせいかもしれませんね。
「なんやそれ!」というオチがついたようなエピソードもまた、楽しいものです。
その他・堂内の仏像たち、出土品





堂内には大日如来坐像・二天像・猫入り涅槃図以外にも、
造られた年代や経緯は不明ながらも、美しい仏像などがたくさんあります。
正蓮寺大日堂は元々、真言宗高野山派「普賢寺」の本堂であり、
本堂は1478年に再建されました。(その後1943年、本堂も重要文化財に指定。)
廃仏毀釈により普賢寺は廃寺となりましたが、当時から残る仏像が
今でも安置されているようです。
激動の時代に流されながらも、よく残していただいたものだと感じました。


いかがでしょうか。
その時の感動が少しでも伝わったでしょうか。
何よりも、地元の皆様が丁寧にご説明していただき、
普段から保存活動に取り組まれていること、
そのおかげでこうして見ることができるのだということに深く感謝いたしました。
特別公開は23日(火)まで、毎日9~17時、見学はなんと無料です!
奈良らしい温かさと確かな歴史を感じる特別公開。
少しずつ秋が近づく今、オススメです!!
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