6月16日、大手ビジネスホテルチェーン「東横イン」の公式ホームページにて、
「【注意喚起】一部の海外予約サイト(Agoda等)ご利用時のご注意事項」が掲出されました。
(公式ホームページでのお知らせはこちら、内容をまとめた記事はこちらをご参照ください。)
東横インが注意喚起した内容をまとめると、以下の通りとなります。
・空室在庫を提供している一部エージェントが、Agoda等へ転売をしている。それにより下記①~③のようなトラブルが発生している。
①転売によってお客様との間でトラブルが発生している。(予約が確保されていない、予約情報が違ったり伝わるスピードが遅いなど)
②ホテルで設定した料金よりも大幅に高い料金で販売されていることがある。
③キャンセル不可で販売されていることがある。
・その為、Agoda等の転売先で予約された方は、ホテルへ予約に関する連絡をするのではなく、予約先へ直接確認していただきたい。ホテルで承ることができない。

これ、本当によく言ってくれた、ありがとうございます!という気持ちです。
転売問題に関しては、それによる発生したトラブルをこちらで書いたこともありましたが、
大手企業が(具体名まで出して)注意喚起を促してくださったことに、
この場を借りて感謝申し上げたいと思います。
上記①~③について、宿泊業界ではない方にとってはわかりにくい問題かとも思いますので、
①~③の詳細と問題点について、書いていきたいと思います。

①転売によってお客様との間でトラブルが発生している。(予約が確保されていない、予約情報が違ったり伝わるスピードが遅いなど)について
そもそも転売についてどういうことなのかを解説します。
現状全世界で最も利用されている予約サイトの1つに「Booking.com」があります。
北米で誕生した予約サイトであるBooking.comは2007年、
今回問題となっているアジア圏でシェアの高い「Agoda」を買収し、
現在ではBooking.comがAgodaの親会社となっております。
そんな影響からかBooking.comとAgodaは、宿から提供された空室在庫を
互いに転売し合っているのです。
今回の件で、恐らく東横インはBooking.comにしか空室在庫を提供していなかったのにも関わらず、
(一部エージェントと表現されていたのはBooking.comのことだと思われます)
Booking.comからAgodaへ空室在庫が転売されており、
Agodaで予約された情報は、一旦Booking.comを経由してから、東横イン側へ送られるということになったということです。
この状況は当館でも全く同じで、
当館もBooking.comに提供している空室在庫が、勝手にAgodaへ転売されております。
止めてほしいとBooking.comに何度も確認・依頼しましたが、
そもそも契約に転売することを認める条項が入っているようで、一切聞いてもらえませんでした。

他のサイトと比べて、Agodaへの転売による問題点は以下の通りです。
・Agodaからの予約はお客様の住所・電話番号が書かれていないこと(少しでも気軽に予約を取りたいというAgodaの仕様です。)
・メッセージの伝達速度が遅くなること(24時間後に届くというケースもありました。)
・こちらの情報がAgodaの予約ページに反映されないということ
それでもお客様は、Agodaを通じて宿の予約をしたという認識から、
予約内容について直接宿に問合せをしようとして来られます。
何故なら、Agodaの電話窓口となるサポートセンターが、ほぼ機能していないからです。
電話はほぼ繋がらず、繋がったとしてもたどたどしい日本語での対応、
メールを送っても返事が遅く、それもわかりきった回答しか来ない対応。
それだったら宿に直接連絡した方が早い、と思う気持ちはよくわかります。
ですが宿側も、情報がない以上対応できないのも、これまた事実です。
そうした事情から、東横インはあえて「予約先(Agoda)へ直接確認していただきたい」ということを
書いたのだと思います。

②ホテルで設定した料金よりも大幅に高い料金で販売されていることがある。③キャンセル不可で販売されていることがある。→これらについて
こちらもAgodaの仕様(というか小手先のテクニック)によるものです。
最近AgodaのCMで良く謳われている「最大〇〇%引」「キャンセル無料プランあり」」という言葉。
こうしたフレーズを聞くと「Agodaで予約するとお得で自由が利くんだな」と思いますよね。
ただよく考えてみてください。
宿泊料金やキャンセルポリシーを決めるのは、本来宿側であるはずです。
そして余程Agodaに頼りきりという宿以外は、じゃらんなどと同じ価格・ポリシーで、
(もしくは販売手数料分を上乗せして)販売を依頼します。
それなのにAgodaが「〇〇%引!」と言うのは、
Agodaの利用者を増やすべく、自らの利益を削って「〇〇%引」と言っているからなのです。
ただここまでは、Booking.comなど他の海外系サイトでも良く行われており、
楽天トラベルやじゃらんでも「ポイント還元」「クーポン進呈」として実施されているので、
まぁ良いでしょう。(あまり好きではありませんが。)
Agodaはそれだけで飽き足らず、正規価格をわざと大幅に高いように見せることで、
ものすごく割引が効いているように感じさせる小細工を行っているケースが多々見受けられます。
以前当館で実際に、
本来海外系サイトには「4,100円」で提供していたお部屋を、
「定価6,400円→4,000円、37%引!!」と表示されていたことがありました。
詐欺に近いような小手先のやり口だと感じます。
またキャンセル無料プランはもっと悪質で、
宿の紹介ページや検索画面には「Agodaではキャンセル料無料プランがあります!」と書きながら、
予約確定の一歩手前、名前などを入力する画面になって初めて
「本プランは7日前以降キャンセル料が発生します。」という文字が小さく書かれていたことがありました。
推測ですが、恐らく東横インでも同様の事案が発生したのではないでしょうか。
広告を規定する「景品表示法」でグレーゾーンだと捉われかねないようなことまでしても、
顧客をAgodaに囲い込みたいということなのでしょうか。
※ちなみに、AgodaやBooking.comなどの海外系予約サイトは、旅館業法における「旅行業登録」を行っておりませんので、日本の旅館業法が適用外となります。何かトラブルが発生しても自己責任となりますのでご注意ください。

長文となってしまいましたが、本トラブルの詳細がお分かりいただけましたでしょうか。
改めて(Agodaと名指しで指摘してまで)批判を恐れず、
お客様への注意喚起を行った東横インには感謝すると共に、
お客様がスムーズに滞りなくご宿泊いただけるように努力する姿勢は、
僭越ながら学ばせていただきたいと感じました。
※写真は本日から7月6日まで設置されている、大神神社の茅の輪です。文章がハードな分、せめて写真ぐらいは。。。
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